「もう、学校に行けない!」と言われたら・・・ 中村みほこ 稲城市議会議員
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2008 年 7 月 11 日     カテゴリ:活動報告
「もう、学校に行けない!」と言われたら・・・
〜 不登校の子どもの居場所「フリースペースえん」を訪ねて〜
全国でも珍しい公設民営型の不登校児童・生徒らの居場所「フリースペースえん」は川崎市がNPOに委託して始まった協働事業だ。「川崎市子どもの権利に関する条例」の具現化として’03年にOPENした子ども夢パーク内に開設された。
「子どもの居場所」の在り方を探るため、不登校の子ども達と関わり続けて20年以上という理事長の西野博之さんにお話を伺った。

■どうして子ども達に居場所が必要なのか
そもそも子どもにとっての「居場所」とは?
いじめや虐待など学校・家庭環境、発達障がいや精神疾患、またひきこもりや非行傾向の若者達など、様々な事情で学校や家庭・地域に居場所が見いだせない子ども達が年々増えている。ここはそんな子ども達が一緒に混ざり合い、ひとり一人が自分のペースで安心して過ごせる場。カリキュラムはなく、いつ来て、どう過ごすかは自分次第。やりたいことがあれば“この指とまれ” 方式で仲間を集め、企画し活動するのだ。この「えん」がすごいのは、企画の講師陣には著名人も含めた豊富な人材がボランティアで関わってくれているということだろう。

■公設民営で誰でも参加できる場に
参加費は無料。学校外での学びや育ちを支援するNPOの活動に対して、行政が人件費やスペースといった運営基盤を担うことで、来たい人は誰でも来ることができるのだ。
「居場所」で大事なのは場を開き続けることと、そこにどんな「まなざし」をもったスタッフがいるか。自信を削ぎ落とされ、苦しむ子ども達が、自己肯定感を取り戻すために受け止め、寄り添い、関わり続けるスタッフのまなざし・存在はとても大きい。ではそのスタッフの生活をどう支えていくのか、行政のバックアップは重要だ。

■「一緒に食べること」を大切に
ここでは毎日みんなで昼食を作って食べる。「食べること」は「生きること」につながっているからだ。台所からはいい匂いが漂ってくる。私たちも「カラカサン(移住女性のためのエンパワメントセンター)」から来たというフィリピンの女性や子ども達が作った料理をご馳走になった。何気ない日常的な暮らしを取り戻すことで、安心して人との関係を育んでいけるようになるのだという。

■失敗して学ぶ
子ども達はその子自身の個性よりも常に学校や大人が決めた規則や「ふつう」といった枠の中に納まることを求められる。あらゆる行動が仲間との競争や比較、評価につながっているからだ。
西野さんは大人がムダと思える時間やボーッとできる時間も大切。自分は何をして、どう生きたいのかを考える上で、失敗することも必要なプロセス。失敗できるチャンスをつくるおとな側の余裕がなければならないという。親が子どもの育ちをどうとらえるのか、学校に何を期待し、求めるのか。親側の課題も大きい。

■誰もが生きているだけで祝福される場
自尊感情が低く、自己肯定感がもてない子ども達。孤立して、苦しんでいる子ども達が、人とつながり、ありのままの自分を受け入れてもらえることで次第に「私は私で大丈夫」と自信を取り戻し、やがて自分の足で歩き始めるのだという。こうして3月には子どもたちが作る「巣立ちの会」で来年の自分はどうしたいのかを発表し、次のステップを踏み出していく。
学校復帰を目的にはしていない。かつては否定的に見られたこういうやり方も、文科省の依頼で子ども達のその後の追跡調査を行ったところ、9割近くがまた学校や学びの場へ戻っていたという。昨年に引き続き、県教委との連携で1年間の教師研修を受け入れている。
居場所に一番大事なことは「どんなまなざしを持った人がそこにいるか」スタッフの力量が問われてくる。同じ思いを持った人を育て、場を継続していくことの難しさはさまざまな活動をしているNPOがどこも抱える課題でもある。

文部科学省の発表によると、2006年度公立中学校のいじめの認知率は78.9%、中学生の不登校の割合(出現率)は3.24%(31人に1人)となった。子ども達は学校へ行けないことに苦しみ、罪悪感すら感じてしまう場合がある。生き場を失って増え続ける子ども達の自殺に対して、私たち大人がもっと子どもの心の側に寄り添う姿勢が必要だ。安心して学び・育ち・生きていくためにはソフト面、ハード面を含めた早急な環境整備が望まれる。
今回の視察で、学校教育以外で育ち・学ぶ場を求めている多くの子ども達の存在を知ることができた。収益を上げる事業ではない。次代を担う子ども達の育ちを行政とともに地域で暮らす私たち市民がどう支えていくのか。今ある制度事体を問いなおしていくことも必要だろう。
稲城らしい居場所づくりのために、今後の提案活動に活かしていきたいと思う。

                             中村みほこ




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